9月8日サイエンスカフェFinal@多摩六都科学館
ご報告が遅くなってしまいましたが、今月9月8日の土曜日に今年の多摩六都科学館でのサイエンスカフェ最終回も大盛況のうち、無事終了いたしました。
ご来場いただいた皆さん、どうもありがとうございました!!!

昨年のサイエンスカフェの数学(ガロア理論)が大好評だったという事で、今年も3回シリーズのうち1回を数学の講義にということで、カブリIPMU助教の阿部知行さんが講師として登場しました。
今回のタイトルは「図形から語る数学の世界~不思議な3つのラングランズを巡って~」。
前回までの宇宙の話よりも敷居が高いように感じる方の多い数学ゆえ、講義を聞くだけではなく、参加者のみなさんに実際に計算をして自分で考えていただき”参加する”サイエンスカフェ本来の姿が感じられる楽しい回となりました。

問題を解く参加者の方とそれを見守る阿部さん(右端)

ちなみにこのブログで過去に取り上げたことのある土屋さんをはじめ、カブリIPMUにもユニークな数学者はいますが、今回阿部さんが話題にした数学者”アレクサンダ-・グロタンディークさん”の奇人ぶりには仰天しました。
代数幾何で素晴らしい業績を残していてフィールズ賞受賞者でもあるのですが、所属していたフランス高等科学研究所(IHES)に自らの思想に反するところからの寄付があったことでIHESを辞職した上に、数学からも離れてしまってピレネー山脈の山奥で隠遁生活を送っているとか・・・・。
ちなみにこのグロタンディークさんの代数幾何学原論(EGA)と代数幾何学セミナー(SGA)はフランス語。
両方合わせると8000ページぐらいあるそうなのですが、阿部さんは原著(もちろんフランス語)で全て読んだとのことです・・・。

今回終了後に会場で何名かの方にお話を伺ったのですが、今回は山梨県から来ていただいた数学好きの中学生の方の「わからなかったけど、楽しかった!!」という感想がとても印象に残っています。
中高生の理科・理系離れが言われて久しいですが、「わからない」→「興味がない」となるところを、最先端の研究者が”なんだかわからない難しい”ことを夢中になって研究している姿を見ることによって「なんだかわからないけど面白そう!もっと知りたい!」と数学や理科に興味を持ってもらえる機会を提供する場をつくれればと思っているのですが、今回も若手の研究者である阿部さんの数学や自分の研究についての率直な話で、参加者の皆さんに数学を身近に感じていただくと共に、”数学”にかける数学者の熱意を感じていただけた大成功の回になりました。


多摩六都科学館でのサイエンスカフェは来年以降も継続して行う予定です。
今年3回のサイエンスカフェ、それぞれにご来場いただいた皆様、ご来場ありがとうございました!
またアンケートへのご回答にもカブリIPMUスタッフ一同大変感謝しています。
毎回熱心に書いてくださるアンケートには全て目を通させていただき、次回以降の参考にさせていただいています。
今後とも皆さんに科学の楽しさを伝えられる”カフェ”をはじめとしたイベントを開催していきますのでお楽しみに!!

by fu-miyazoe | 2012-09-25 18:12
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